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ー 美しい心・美しい日本語・ことばを心にのせて ー

美しい心・美しい日本語・ことばを心にのせて

ワークショップ

1995年 台詞としての日本語を正確に、美しく、そして心をこめて伝えられる俳優を目指す人達が、 主宰の大島宇三郎の下に集いワークショップを続けてきた。
1996年から「難しい」と敬遠されがちな作品を分かり易く、その面白さを伝えようと自主公演を重ねている。 その成果は着実に評価を得ている。
「個性発掘」はもとより、「モメントの想起」「解放」「発声」「呼吸法」「エチュード」等の基礎訓練を徹底的に行い、 また、台本を使っての少人数制(10~15人)による、マンツーマンの実践形式のレッスンを月に4~8回行っている。

異聞「源氏物語」は「女性遍歴」ではなく「オトコ絵巻」!松島奈巳

異聞「源氏物語」は「女性遍歴」ではなく「オトコ絵巻」!松島奈巳

岩波文庫版にして、全六冊。「源氏物語」には見せ場が目白押しだ。 光源氏のプレイボーイぶり、義母・藤壺との禁断の恋、年の離れた紫上への少女趣味など、華麗な女性遍歴はいずれもまこと絵になる。
晩秋の東京・アイピット目白で、「スペースU」という小さな集団がこの古典の異聞ともいうべき実験作を手掛けた。『とき語り源氏物語』 十八名の役者陣は、決して美男美女揃いではない。身にまとうのも十二単どころか、地味な藍染め。きらびやかなセットもなく、物語は対話と朗読調の背景説明で展開される。
色濃く打ち出されるのは、意外にも男の嫉妬だ。右大臣家と左大臣家の権力闘争。父帝を裏切り、義母と禁断の契りを結んだ青年期の情熱。 不義の子として出生した冷泉院との因果、そして応報・・・・・
甘美なロマンスや六条の御息所の怨霊など、視覚効果でわかせるエピソードは俳された。 しぼり出すような囁きや激しくほとばしる叫びからは、平安貴族の没落と栄華が静かに浮かびあがる。 源氏物語ゆかりの作品はこれまでにも見聞きしているが、光源氏の生涯をつらぬく太い幹がストント腑に落ちた気がした。
優れた芸術を生み出すには、「金」「知恵」「汗」のいずれかが必要といわれる。十二月には吉永小百合主演の映画版「源氏物語」が封切られる。 制作費は十四億円。一億円もの十二単も登場する。この東映大作と比べたら、異聞「源氏物語」は資金力も話題性もゼロに等しいだろう。
しかし膨大な原作に対峙した際の知恵と、格調高い台詞劇に仕立てるまでに流した汗は・・・・・
この労作からは痛いほど伝わってきた。

記事
雑誌掲載記事より